自分が変わること

月刊「点字ジャーナル」連載コラム

2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

東京人のけなげさ

2024年5月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 南アフリカから22時間かけて成田空港に着いた途端、すでに「日本モード」に なっている自分に気づいた。飛行機から降りると、いそいそとチケットを買い京成スカイライナーに乗った。土曜日の午後9時。普段はガ…

ズールー語と和歌

2024年4月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 南アフリカに3カ月という長い日程を組んだのはズールー語を学ぶためだった。西アフリカを旅行中、人の家に泊めてもらううちに、現地のアフリカ言語を自分のものにしたいという欲がでてきた。そのためには、まず…

23年のタイムトラベル

2024年3月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 南アフリカに着いて間もないこの1月、私は友人につき合い、ショッピングモー ルにある銀行のベンチに座っていた。 モールの玄関口や駐車場で暇そうに佇んでいる人の姿は昔と変わらない。だが、 買い物に来る人は…

アフリカ人を前に変わった自分

2024年2月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 アフリカ大陸の旅もあっという間に2カ月。昨日、西アフリカのコートジボワール最大の都市、アビジャンに着いたところだ。もう少し先に進んでいるはずだったが、ずいぶんと長居してしまった。 スペイン、モロッ…

ガンビアで目にしたシスターたち

2024年1月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 アフリカ旅行を始めてそろそろ1カ月になり、西アフリカの小国、ガンビアでこんな光景を目にした。 しばらく路上で待っていると、目当ての行き先に行く大型のワゴン車が客寄せを始め、10人ほどが一斉にバスにか…

無目的な旅は人を寂しくさせるか

2023年12月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 珍しく感情が波打った。割とすれっからしで、感情の上下が乏しい方だが、日本を出るとき、寂しい気持ちになった。スペイン経由でアフリカへ半年ほど行くため、この11月6日、妻と羽田空港に向け車を走らせてい…

心の恩人、中村寛子シスター

2023年11月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 猛暑の終わりのころ、シスターの中村寛子さんを訪ねた。この方に会うのは2001年1月以来なので22年半ぶりである。当時、彼女はコンゴ民主共和国、旧ザイールの首都キンシャサにある修道院にいた。私は5年半のア…

アフリカ本を読む 田中真知さんの本大当たり

2023年10月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 この夏は前よりも時間ができたので、仕事以外の本を結構読んだ。コロナで入院したちょうどその日、2021年5月1日に60歳になり、毎日新聞社を定年退職したのだが、年金がもらえるまで、パートのような形で働ける…

自問自答は癖なのか

2023年9月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 みながしていると思っていたことが、そうでもないことが、年をとってからわかるものだ。例えば、常に音楽が頭の中で鳴っていること。これは大方の人がそうだろう。私の場合、登山中に顕著になる。先日、北アルプ…