自分が変わること

月刊「点字ジャーナル」連載コラム

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

女性ゲリラとの出会い(その1)

2009年11月号掲載 毎日新聞ローマ支局長/藤原章生(当時) その通りは記憶とずいぶん違っていた。発展して変わったわけでもない。むしろ、さびれている。ただ、空気というのか、人の雰囲気、そして、光が違う。 2005年、中米、エルサルバドルにある小さな町…

経験から学ぶのは愚かなのか

2009年10月号掲載 毎日新聞ローマ支局長/藤原章生(当時) いま、私はローマに暮らしている。観光客が集まる市街地から少し離れた、南外れのアパートの4階だ。先週からこのアパートに、キリスト教の人が来るようになった。ダニエルという名の30代後半の男…

挫折、ひとりぼっち

2009年9月号掲載 毎日新聞ローマ支局長/藤原章生(当時) 中米の小さな国、ベリーズで私は突然落ち込んだ。25歳の夏だった。あれは何だったんだろう、と今も思う。 私の上、「団塊の世代」とひとくくりにされる人々はよく「挫折」という言葉を使う。今はそ…

ベリーズの激しい雨

2009年8月号掲載 毎日新聞ローマ支局長/藤原章生(当時) 何かに感動したとき、どうしたらそれを人に伝えられるか。絵にするか、それとも言葉にするのか。そんな問いかけに、写真家の星野道夫はこう書き残してる。「感動して、自分が感動して変わっていく…

星野道夫という詩人

2009年7月号掲載 毎日新聞ローマ支局長/藤原章生(当時) 星野道夫という写真家がいた。ロシアの極東、カムチャツカ半島で亡くなった人だ。森にテントを張り、ヒグマに襲われたという。 1952年に生まれ、亡くなったのは96年の8月。43歳だった。私はそのこ…